トレーニングの方法には科学的に正しい原則が存在します。ここではこの原則について解説していきます。
7つの原則があり、①過負荷の原則 ②漸増負荷の原則 ③反復性の原則 ④特異性の原則 ⑤意識性の原則 ⑥個別性の原則 ⑦全面性の原則といったものになります。
難しそうに感じるかもしれませんが安心してください!わかりやすいように解説します!
この7つの原則に基づいてトレーニングをすることで効率よくパフォーマンスをあげることができます。
中には当たり前と思うような内容もあります。が、意外と理解しているようで知らなかったり、無意識のうちにやっていたりするものもあるのでここで確認してください。
①過負荷の原則
過負荷の原則は簡単にいうと「筋力をつけるためには、今の筋力よりも強い負荷をかけないといけない」ってことです。
例えば10kgの重りを使ってトレーニングしているとします。最初は重いなと感じていても、2週間後には楽になってきたなと感じますよね。
これは10kgの重りを持つために必要な筋力がついている証拠です。
しかし、このまま1カ月、2カ月と同じ10kgの重りを使い続けてもそれ以上筋力が付くかといえばそうではありません。ずっと10kgの重りを上げるだけの筋力が維持されていくだけになります。
筋力やパフォーマンスを上げるためには、11kg、12kgと負荷を上げていかなくてはいけません。
これが過負荷の原則です。
②漸増負荷の原則
これは簡単にいうと「負荷は少しずつ上げていかなくてはいけません」ということです。負荷量の設定方法の一つに1回反復最大負荷(1RM)があります。
1回反復最大負荷(1RM):1回だけ上げ下ろしできる重さを測定する方法。
30kgのものを1回だけ上げ下ろしできてそれ以上重いものではできなかった場合、そのひとにとっての1RMが30kgになります。
2回、3回と上げられるひとはもっと重いもので試してみます。
なのでひとそれぞれで1RMは異なってきます。
トレーニングを行っていくにつれて、1RMの重さは変わってきます。
定期的に確認することが必要です。
筋力増強(筋力を強くしたい)と筋肥大(筋肉を大きくしたい)場合では少し負荷のかけ方が違ってきます。
筋力増強…脳や神経と筋肉との適応を高め、瞬時に強い力を出すことが目的。どんな大きな筋肉があっても神経適応が悪いと大きな力は発揮できない。
筋肥大…筋肉の線維を太くする。筋力は筋線維の太さに比例して強くなる。
筋力増強させたいのであれば、負荷量は1RMの60~70%の重さでトレーニングを行います。
1RM=30kgなら18~21kgです。回数は10回程度で速さは低速~中速、2分休憩の3セット、頻度は2~4回/週といった感じです。
筋肥大を狙うのなら、負荷量は1RMの70~85%(1RM=30なら21~25.5kg)で、10回程度を低速~中速で、1~2分休憩の3セット、2~4回/週といった感じです。
このように設定してトレーニングをしていきますが、負荷量を上げる際に、急激な負荷増大は怪我のリスクが高まります。
理想では2~10%ずつ負荷を増やすことが良いと言われているので参考にしてください。
③反復性の原則
これは「筋力増強はすぐには効果がでない」というものです。適切な負荷を反復して続けていくことで効果がでます。ほとんどの場合早くて2週間の継続で筋力が増強します。
年齢に影響されますが、90歳台のひとでも正しくトレーニングすれば8週間で筋力上がったといわれています。
短期間で筋力をつけようと思わず最低2週間頑張ってください。
④特異性の原則
これは「目的に合ったトレーニングをしましょう」ということです。少しわかりにくいかもしれないので、説明します。
例えば、【速く走れるようになりたい】と思っているひとが、ジョギングばかりしていては速く走れるようにはなりません。
速く走るためには、速く腕を振ることや脚を回転させることで速く走るための運動学習や筋力がつきます。速く走るための筋肉と長距離を走るための筋肉は違います。
強い打球を打ちたいなら、しっかりバットを振る練習をする。
コントロールを良くしたいのか?球速を上げたいのか?によってもトレーニングの内容は変わりますよね。
当たり前のことですが意外とできていない時が多いように思います。トレーニングや練習がハードになるほど疎かになりやすいので気を付けましょう。
この特異性の原則は過負荷の原則と組み合わせることでより効果を発揮できます。
さっきの【速く走れるようになりたい】では、速く走るトレーニングはもちろん必要です。
が、それに加えて脚の筋力アップのためのスクワットやウエイトトレーニングなど組み合わせて行うことで効果が高まります。
単に速く走るだけのトレーニングをするよりも効果は高いとされています。
⑤意識性の原則
これは「トレーニングの意味を理解し、意識することが重要」ということです。
なぜこのトレーニングをするのか?どの部分を鍛えているのか?それを知っているか知らないかで大きく変わってきます。
また、その部位を目で観たり、手で触ったりすることでより意識が高まりトレーニングの効果を高めることができます。
⑥個別性の原則
これは「ひとによって体や環境が違う。そのひとに合ったトレーニングを」ということです。
年齢、性別、競技、筋肉の量、体力、精神状態、経験値、性格など。どんな能力を付けたいのか?なにを克服したいのか?いつまでに?目標やゴールが違うのであればトレーニング内容も変わってきます。
また、みんなが同じトレーニングをしても同じ効果が出るとは限らないです。
個人に合ったトレーニングを選びましょう。
⑦全面性の原則
これは「競技に活かせるようにトレーニングしましょう」ということです。
例えば、レッグエクステンションという、大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)を鍛える機械があります。
あれは脚が浮いた状態で筋肉を鍛える機械です。大腿四頭筋はスクワット動作やジャンプ動作でも重要な働きをしますが、スクワットやジャンプは脚が地面についた状態で床反力を使って体を動かします。
つまり、レッグエクステンションでいくら大腿四頭筋が強くなっても、床反力をうまく使えずスクワットやジャンプは上達しないのです。
なので同じ筋肉を鍛えるとしても、いろいろな姿勢・動きで筋肉を使うことを心がけましょう。
最後に
トレーニングは効率よく行うことでパフォーマンスを劇的に改善させることもできます。
しかし、間違った方法ではパフォーマンスが上がるどころか怪我の原因にもなりえます。
目的をしっかり理解し、正しい負荷で、姿勢で行ってこそいいトレーニングと言えます。
体を動かすだけでなく、トレーニングの勉強もしっかりしていってくださいね。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
コメントを残す