前の記事ではストレッチの目的や効果について書いていきました。
ここでは種類と方法について書いていきます。
ストレッチの種類 ~4種類のストレッチ~
- スタティックストレッチ
- バリスティックストレッチ
- ダイナミックストレッチ
- ダイレクトストレッチ
スタティックストレッチ (静的ストレッチ)
スタティックストレッチは前の記事で紹介したIb抑制を用いたストレッチです。
ゆっくりと筋を伸張していき最終域で静止し伸張する方法です。
目的としては柔軟性・可動域の向上、怪我の予防で
スポーツ場面では運動後や普段からのケアで用いるストレッチです。
注意を守りながら行うと比較的安全で効果も得られやすいです。
ここでの注意点は3つ‼
- 反動をつけない
- 痛みがでる直前で静止
- 30秒間保持する
反動をつけない理由は、伸張反射を起こさないようにするためです。
柔軟性を高めるためのストレッチが伸張反射により収縮し、逆に緊張が高まってしまいます。
また、痛みがでる直前で静止するのは防御収縮を起こさないためで
Ib抑制の効果を得るためには目的筋の収縮は起こしたくありません。
ストレッチの持続時間は様々な文献で示されていますが、30秒以下のストレッチでは
柔軟性の改善が少ないとされています。
なので最低30秒間は行うようにすれば効果があると覚えておいてください。
バリスティックストレッチ (動的ストレッチ)
バリスティックストレッチは反動を付けながら伸張していく方法です。
目的は、運動前のウォーミングアップでパフォーマンス向上のために用います。
注意点は2つ‼
- 柔軟性が低い人に行うのは慎重に
- 筋損傷のリスクがある
以前こんなニュースを見かけました。
『身体が硬い生徒に体育教師が無理やり開脚ストレッチをおこない椎間板ヘルニアを発症』
この時行っていたのがバリスティックストレッチです。
このストレッチがダメというわけではなく方法がまずかったわけです。
単独の筋を狙って行うストレッチよりも開脚や前屈ストレッチでは多くの組織が
影響を受けます。人の体は動きやすい部分がより動く作りになっています。
硬い部分を柔らかくするためには前屈や開脚ストレッチでは非効率で、
人に反動を付けてもらうとより危険性が高まります。
反動による外力が体に加わるので他のストレッチよりも慎重に行う必要があります。
安全なストレッチ方法についてはこれからの記事で書いていきますね。
ダイナミックストレッチ
ダイナミックストレッチは伸張させたい筋の拮抗筋を収縮させ
相反神経抑制(Ia抑制)を用いる方法です。
名前の通りダイナミックな運動を反復してリズミカルに行うことで効果が得られます。
例えばハムストリングス(膝屈筋群)を伸張させたいなら
大腿四頭筋(膝伸筋群)を収縮させ膝伸展運動 ➡ 膝屈曲させ大腿四頭筋の伸張
➡ 膝伸展運動(1回目よりやや大きく) ➡ 膝屈曲させ大腿四頭筋の伸張
の繰り返しです。
伸筋群の活動により屈筋群にIa抑制が働き弛緩した筋を伸張することで
柔軟性の改善を図っていきます。収縮強度は徐々に上げていくようにします。
ダイレクトストレッチ
ダイレクトストレッチは対象の筋を直接指圧等で揉みほぐすというイメージです。
筋筋膜は関節を動かすだけでなく、感覚器としての役割も果たしており、
過負荷や反復収縮によりストレスが増えると、筋スパズムや筋硬結、炎症といった
収縮・血行障害を引き起こし圧痛や収縮時・運動時痛といった痛みを招きます。
筋の低酸素状態により線維化・滑走性障害が生じ、さらに炎症を悪化させるという
悪循環となるためスパズムや硬結部位へのダイレクトストレッチは有効とされています。
また、柔軟性の改善を目的とする場合は筋腹よりも筋腱移行部へのダイレクトストレッチが
効果的と報告されています。これはゴルジ腱器官が豊富な筋腱移行部への触圧刺激により
Ib抑制が働いているのではないかと推察されています。
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